あなたは、はんぺんとちくわの違いについてはっきりと説明することができますか。
そして、はんぺんとちくわに使われている添加物の違いについて、説明することができますか。
はんぺんとちくわは、魚のすり身を使った食品ですが、その他に使われている原材料に多少の違いがあります。
そして、原材料に多少の違いがあるからこそ、使われている食品添加物にも違いがあるんです。
使われている食品添加物に違いがあるのであれば、私たちの健康に与える影響も大きく異なるのは当然ですから、はんぺんとちくわの原材料や食品添加物の違いについて知っておきたいと思うのは、健康を意識している人であれば当たり前のことですよね。
というわけで、今回は、スーパーで売られているはんぺんとちくわを実際に購入し、原材料名の違いについて調査してみました。
これからご紹介した情報を知っていれば、はんぺんとちくわの違いについて健康面からも比較することができるので、しっかりとチェックしてくださいね。
1.はんぺんとちくわの違いは
はんぺんもちくわも、魚のすり身が主な原材料である点では全く同じです。
とはいえ、はんぺんが魚のすり身をゆでることによって作られるのに対し、ちくわは魚のすり身を焼くことにとって作られています。
つまり、同じ魚のすり身が原料とはいえ、はんぺんとちくわでは加熱方法が異なるんです。
また、一般的に、はんぺんを作るためには、原材料として山芋と卵白が必要です。
つまり、はんぺんとちくわは、同じ魚のすり身を使ってはいるものの、魚のすり身以外の原材料に決定的な違いがあるんです。
ちなみに、今回調査した、はんぺんの原材料にも、山芋と卵白はちゃんと使われていました。
なお、はんぺんに山芋と卵白を使う目的としては、魚のすり身をふっくらとするためです。
2.ちくわのみに使われていた原材料とは
ちくわとはんぺんの原材料の違いは、山芋と卵白だけではありません。
そして、今回調査したちくわとはんぺんの原材料名の中には、私たちの体に悪影響を及ぼすかもしれない食品や食品添加物も含まれていました。
では、まず、はんぺんには含まれておらず、ちくわのみに使われていた原材料について、詳しくご紹介していきます。
2-1.みりん
みりんには、もち米、米こうじ、焼酎などを使って作られている調味料です。
みりんを使うことによって、料理に上品でまろやかな甘みが出るのはもちろんのこと、食材の表面に照りをつけたり、アミノ酸やペプチドなどの旨み成分により深いコクを与えてくれます。
なお、日本名門酒会のホームページによると、みりんには、本格焼酎に蒸したもち米と米麹を加えて仕込み、じっくり熟成させて造られた伝統的製法の本みりんと、蒸したもち米と米麹に、アルコールと水アメを加えて、香味を調整し、短期間で造られた標準的製法の本みりんがあります。
また、アルコールがほとんど含まれていない「みりん風調味料」と呼ばれるみりんに似せた調味料も存在します。
今回調査した、ちくわに使われているみりんは、どのタイプなのか分かりませんが、みりん調味料は本みりんが本来持つ発酵も熟成による栄養やミネラルなどメリットを体に摂り入れることができないため、可能な限り避けたいものです。
2-2.植物油脂
植物油(植物油脂)とは、植物から採取された油脂分を食用に精製した物の総称です。
サラダ油、オリーブオイル、胡麻油、大豆油、米油なども、すべて植物油です。
同じ植物油でとはいっても、使われている原料によって特徴や体への影響は大きく異なります。
サラダ油の危険性が指摘されたり、オリーブオイルや米油が健康にいい油と言われている理由も、原料や製法の違いにあります。
そして、一般的に植物油を使用して作られている加工食品には、以下のような危険性が考えられます。
2-2-1.遺伝子組み換え作物を使用している可能性
一般的な加工食品において、遺伝子組み換え食物を使用していない場合には「遺伝子組み換えなし」の表示があります。
つまり、「遺伝子組み換えなし」の表示のない食物油は、遺伝子組み換え作物を原料に作られた可能性が考えられるということです。
2-2-1-1.遺伝子組み換え作物の危険性とは
植物油の中には、遺伝子組み換え作物を原料として作られているものがあります。
■参考:遺伝子組換え食品とは
そして、遺伝子組み換え作物を原料に植物油を製造したとしても、メーカーは遺伝子組み換え作物を使用していることの表示義務はありません。
いまのところ、遺伝子組み換え作物が原因で健康被害が発生した事例はありませんが、遺伝子組み換え作物の危険性や体への悪影響を指摘する声は後を絶ちません。
遺伝子組み換え作物を嫌い拒み続けるヨーロッパ各国の対応を見ても、出来る限りリスクを避ける手段を選んだ方が得策だといえるでしょう。
2-2-2.トランス脂肪酸を含んでいる可能性
植物油が使われている多くの食品の中には、トランス脂肪酸が含まれています。
そして、トランス脂肪酸は、さまざまな危険性が指摘されているにもかかわらず、日本ではトランス脂肪酸に対する表示義務がありません。
つまり、植物油が使われているちくわは、トランス脂肪酸が使われている可能性があるものの、含有量については把握することができないのはため、どれくらい体に悪影響を及ぼすのか私たちには知る術がないのが現実なんです。
2-2-2-1.トランス脂肪酸の危険性とは
トランス脂肪酸を長期間過剰摂取することにより、血液の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減少させる効果があります。
そして、悪玉コレステロールが増え、善玉コレステロールが減ることにより、動脈硬化などによる虚血性心疾患のリスクが高まります。
なお、世界保健機関(WHO)や食糧農業機関(FAO)では、心臓血管系の健康増進のため、食事からのトランス脂肪酸の摂取を極めて低く抑えるべきであり、最大でも一日当たりの総エネルギー摂取量の1パーセント未満とするよう、勧告が行われています。
3.はんぺんのみに使われていた原材料とは
では、逆にちくわには含まれておらず、はんぺんのみに使われていた原材料にはいったいどんなものがあり、私たちの体にどんな影響を与える成分なのでしょう。
それぞれの原材料について、詳しくご紹介していきます。
3-1.醗酵調味液
ケーオー醗酵株式会社のホームページによると、醗酵調味料とは、
味噌・醤油・本みりん・食酢等と同様に微生物の醗酵作用を利用として製造した調味料です。
と紹介されています。
そして、発酵調味料の原料は米やとうもろこしであり、国内で一般的に言われる発酵調味料とは、みりんの一種です。
醗酵調味料の目的は、料理に甘味をつけるたり、うまみを与えたりすることであり、アルコール発酵させ、グルタミン酸ナトリウムやブドウ糖、酸味料を加えて作ります。
なお、発酵調味料として認められるためには、飲用できないようにする必要があり、酢や酢酸、塩を一定量加えることで、人が飲めないものとなっています。
3-2.PH調整剤
食品安全委員会のホームページによると、PH調整剤とは、
pH調整剤は、食品を適切なpH領域に保つ食品添加物です。微生物の増殖は、pHにより影響を受けることから、食品のpHを調整することにより、結果的に食品の保存性を高めることがあります。
と紹介されています。
つまり、菌の増殖を抑えて食品の腐敗を防ぎ、日持ちを良くする目的で使われている食品添加物なんです。
そして、
pH調整剤等の食品添加物は、食品衛生法に基づき、人の健康を損なうおそれがないものとして厚生労働大臣が定めたもの以外は、原則として使用することができません。
とあるため、私たちの健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えることができますが、
pH調整剤の多くは使用基準を定めていませんが、一部の品目には、必要に応じて設定しています。
という説明には、過剰摂取による悪影響も可能性が心配されます。
また、PH調整剤の成分のひとつである「リン酸塩」は、カルシウム の吸収を抑えて、骨粗鬆症(骨粗しょう症)の原因になると考えられています。
PH調整剤の多くは、使用基準が定められていないため、リン酸塩などの食品添加物の過剰摂取による体への危険性はゼロではないということは、覚えておきたいポイントです。
3-3.酵素(大豆を含む)
酵素は、タンパク質の一種で、人間だけでなくすべての動植物に存在している物質です。
そして、消化や吸収、代謝、排泄など私たちの体の機能の大きな影響を与える物質で、体内にもともと存在している「潜在酵素」と食物に含まれる「食物酵素」があります。
また、酵素は、天然成分のため、植物性アレルギー以外は悪性の副作用はほとんど起きません。
■参考:酵素は体にいいの?酵素の効果やメリットについて調べてみた結果
3-4.増粘多糖類
増粘多糖類とは、食品に粘り気やとろみをつかえることを目的に使われる食品添加物です。
増粘多糖類は成分名ではなく、2種類以上の食品添加物を使用した際に使われる名称で、使われている主な食品添加物としては、ペクチン、カラギナン、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キサンタンガム、カードランなどがあります。
増粘多糖類は、毒性は明確になっておらず、食品添加物の中では比較的安全で問題ないと判断されている物質です。
とはいえ、十分なテストが行われていない可能性が捨てきれない以上、絶対安全であると言い切れないことも事実です。
3-5.加工でん粉
独立行政法人である農畜産業振興機構のホームページによると、
加工デンプンは、一般にでん粉に物理的、酵素的または化学的処理を行ったもの
と紹介されています。
つまり、加工でんぷんの同義語である加工こん粉は、天然でんぷん、化学薬品を混ぜられた、天然の植物から作られるでん粉とはまったく新しい「合成デンプン」なんです。
そして、加工でん粉のうち、化学的処理を行ったものについては、平成21年4月から食品添加物(てんかぶつ)として扱われることになっており、現在加工でん粉の食品添加物として、次の11種類が指定されています。
- アセチル化アジピン酸架橋デンプン
- アセチル化酸化デンプン
- アセチル化リン酸架橋デンプン
- オクテニルコハク酸デンプンナトリウム
- 酢酸デンプン
- 酸化デンプン
- ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン
- ヒドロキシプロピルデンプン
- リン酸架橋デンプン
- リン酸化デンプン
- リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン
3-5-1.加工でん粉は危険な食品添加物なの?
厚生労働省のホームページでは、
評価の対象となった11種類の加工デンプンが添加物として適切に使用される場合、安全性に懸念がないと考えられ、一日摂取許容量を特定する必要はない
と紹介されています。
しかし、EUでは、加工でんぷん11種類のうち9種類については、ラットでも長期毒性試験において、腎臓に変化あったことを理由に乳幼児向け食品に対し5パーセントの使用制限を設定しています。
また、ヒドロキシプロピルデンプン及びヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンの2種類については、エーテル化剤として用いられるプロピレンオキシド(遺伝毒性発がん物質であることが否定できない)の安全性情報が不足していることから、乳幼児向け食品には用いるべきではないとされています。
つまり、EUでは安全性確保のため使用を制限されている加工でん粉が、日本国内では、一切の使用制限が設けられていないのが、加工でん粉における現状なんです。
4.はんぺんとちくわ、どちらが危険な食品なの?
今回調査した「はんぺん」と「ちくわ」の比較で、ちくわには、
- トランス脂肪酸や遺伝子組み換え作物の危険性がある食用油脂
そして、はんぺんには、
- 使用基準が定められておらず、リン酸塩の過剰摂取により骨粗鬆症(骨粗しょう症)の原因になると考えられているPH調整剤
- EUでは、乳幼児向け食品には用いるべきではないとされている加工でん粉
という私たちの健康にとって有害となる可能性のある成分が、「はんぺん」と「ちくわ」それぞれに含まれていることが分かりました。
そして、トランス脂肪酸とPH調整剤に含まれているリン酸塩および加工でん粉の危険性を比較した場合、リン酸塩による体への影響としては、骨粗鬆症(骨粗しょう症)の原因が考えられる一方、トランス脂肪酸は動脈硬化、心臓疾患、ガン、免疫機能、認知症、不妊、アレルギー、アトピーなどへの悪影響が報告されていて、世界保健機関(WHO)や食糧農業機関(FAO)で注意喚起が行われている成分です。
また、加工でん粉に含まれる2種類のでん粉については、乳幼児向け食品にという限られた使用制限ということで、乳幼児がいる家庭を除けば危険性が小さいと判断しました。
このため、ちくわに含まれる植物油脂と、はんぺんに含まれるリン酸塩(PH調整剤)および加工でん粉の危険性を比較した場合、私は、植物油脂に使われている可能性のあるトランス脂肪酸の方が危険性が高いと判断し、今回調査した「はんぺん」と「ちくわ」では、トランス脂肪酸が含まれている可能性のある「ちくわ」の方が危険な食品だと判断しました。
5.まとめ
いかがでしたか。
「はんぺん」と「ちくわ」の違いについて、理解を深めることができたのではないでしょうか。
そして、同じ魚のすり身を使った練り物でも、使われている食品添加物や体への影響には、大きな違いがあることも、お分かりいただけたのではないでしょうか。
今回の調査結果では、「ちくわ」の方が危険性が高く、「はんぺん」の方が安全性が高いと判断しましたが、「ちくわ」と「はんぺん」には、食品添加物を一切使わず作られているものもあり、今回の調査結果がすべての「ちくわ」と「はんぺん」の危険性に共通する傾向ではないことも事実です。
そして、乳幼児のいる家庭においては、加工でん粉が使われているはんぺんは、ちくわよりも危険な食品であるという判断も必要でしょう。
つまり、食品の危険性について考える場合には、食品の種類よりも、どんな原材料によって作られているのは注意することが、とっても重要なんです。
分かりやすい情報を手に入れることは、場合によっては情報に踊らされる危険性が非常に高くなります。
「はんぺん」と「ちくわ」に限らず、食品を選ぶ時には、分かりやすい情報だけを鵜呑みにし、偏って情報だけで判断しないように、注意してくださいね。