あなたは、野菜不足を解消するためにカット野菜は無意味だと思っていますか?
それとも、カット野菜は普通の野菜と同じように栄養を摂ることができると思っていますか?
普通の野菜とカット野菜にはそれぞれメリットデメリットがありますが、あなたの食生活や健康のことを考えて野菜を摂りたいのであれば、普通の野菜とカット野菜それぞれの栄養に関する違いについての知識を理解した上で 上手な使い方をしたいですよね。
もし、なにも知識をもたずに ただ野菜不足解消のためにカット野菜を食べているだけでは、あなたの努力や健康に対する意識の高さは空回りし、無駄に終わってしまったり逆効果になる可能性も十分考えられます。
つまり、正しい知識を持たずに断片的な情報に翻弄されているだけでは、短期的な効果は得られても、長期的に満足を得られる結果を手に入れることは、とっても難しいんです。
というわけで、今回はカット野菜が野菜不足を解消するための効果はもちろん、一般的な野菜と比較し栄養的にはどのように違うのかについてもご紹介していきます。
野菜不足解消のために、カット野菜を食べようと考えている人は、今回の記事を読んで、カット野菜の栄養についての知識を深めてくださいね。
1.カット野菜は栄養面では利点なし?
カット野菜と普通の野菜を栄養面で比較してみた場合、カット野菜の方がデメリットが大きいと考えることができます。
カット野菜のデメリットが大きい理由としては、次のようなことがあげられます。
1-1.カット野菜はカットすることにより栄養が減少している
野菜は、鮮度が失われると同時に栄養も減少していきます。
そして、野菜はカットされることにより急激に鮮度が低下し、カットされた野菜は空気に触れる部分が増加します。
このため、野菜に含まれている栄養に中でも特に壊れやすい成分や揮発性の高い成分はカット野菜から逃げ、雑菌剤などを使って長持ちさせなければ、変色したり日持ちする期間が短くなったりしてしまいます。
1-2.カット野菜は洗浄することにより栄養が流れ出ている
カット野菜から補給が期待できる重要なビタミンは、「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」に分類することができます。
1-2-1.脂溶性ビタミンとは
脂溶性ビタミンとは、油に溶けやすいビタミンのことで、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどをいいます。
脂溶性ビタミンを多く含む野菜としては、緑黄色野菜(ニンジン、シュンギク、コマツナ、ホウレンソウ、ニラ)があげられます。
1-2-2.水溶性ビタミンとは
水溶性ビタミンとは、水に溶けやすいビタミンのことで、ビタミンB1,B2,B6,B12やビタミンCなどのことをいいます。
水溶性ビタミンを多く含む野菜としては、ブロッコリー、ピーマン、だいこん、じゃがいもなどがあげられます。
1-2-3.カット野菜に含まれる水溶性ビタミン
カット野菜は殺菌や消毒を目的に洗浄が行われています。
このため、カット野菜に含まれている栄養素は、洗浄によって溶け出し流れ出ていってしまいます。
とはいえ、洗浄することによって、すべての栄養素が失われるわけではありません。
なぜならば、洗浄によって流れて出てしまう栄養分の多くは水溶性ビタミンだからです。
カット野菜は、薬品による洗浄をしたとしても、脂溶性成分のビタミン類はカット野菜に留まり、栄養分として私たちの体に摂り入れることができます。
しかし、洗浄によって流れて出てしまった水溶性ビタミンは、普通の野菜と同じように体に摂り入れることが非常に難しいんです。
1-3.カット野菜はそもそも栄養が非常に少ない部類の野菜
スーパーや宅配などで販売されているカット野菜に含まれている野菜の種類の代表的なものとしては、次のようなものがあります。
- キャベツ
- 玉ねぎ
- にんじん
- ネギ
- もやし
- じゃがいも
- だいこん
この中で、キャベツなど一般的に葉物野菜と呼ばれる種類は、水分が非常に多い反面、栄養が非常に少ない部類の野菜です。
つまり、同じ量の野菜でも、種類によって私たちが摂り入れることができる栄養は大きく異なるんです。
また、野菜は単色野菜と緑黄色野菜に分類することができ、一般的に単色野菜に比べ緑黄色野菜方が栄養分が豊富に含まれているといわれています。
しかし、もやしやだいこんなどカット野菜に使われている野菜の多くは、単色野菜によって構成されています。
つまり、栄養面と野菜の種類の関連性を考えてみた場合、カット野菜に含まれている野菜の種類は、けっして栄養面で優れているとは言えないんです。
2.野菜不足を解消することが目的ならカット野菜よりも有効な方法がある
カット野菜だけで野菜不足を解消するのは、あなたが考えているほど簡単ではありません。
そして、カット野菜をそのままたくさん食べれば野菜不足を解消することができると考えている人は、正しい情報を知らず雰囲気に踊らされているだけの「おめでたい人」なのかもしれません。
2-1.健康な体を維持するために必要な野菜の量
厚生労働省は「350~400グラムの野菜」を毎日摂ることを推奨しています。
しかし、私たちの野菜摂取量は、厚生労働省が作成している「平成22年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、約280グラムであり、健康のためには野菜を摂ることをさらに意識する必要があるといえます。
また、350~400グラムの野菜という野菜を、野菜サラダだけで摂ろうとすると、バケツ一杯くらいの野菜を食べる必要があります。
毎日バケツ一杯の野菜を食べることは、ほとんどの人にとって現実的な食事とは到底思えません。
つまり、カット野菜をそのままたくさん食べるだけでは、野菜不足を解消することは至難の業なんです。
2-2.野菜不足を解消するためには
野菜に含まれる栄養を効果的に摂り入れるためには、野菜を食べる量についての意識を高める他に、野菜の調理方法にも気を配ったり食べ方を工夫したりすることが必要です。
2-2-1.皮付き野菜を食べよう
ほとんどの野菜の栄養は実の部分よりも皮や皮に近いところに栄養があります。
たとえば、じゃがいもに多く含まれている栄養であるビタミンBやトレースミネラルの約20パーセントは、皮に含まれています。
また、かぼちゃに含まれているベータカロチンは、実の部分よりも皮やわたの方が多いことも意外と知られていない事実です。
そして、こぼうの皮には血液の悪玉コレステロールを除去し高脂血症を改善する効果があるといわれているサポニンが多く含まれています。
つまり、皮付き野菜をよく洗い、そのまま煮込んだり皮ごと食べることにより、野菜の栄養をより効果的に体に摂り入れることができるんです。
ただし、野菜の皮には、農薬が多く含まれる可能性があるなどのデメリットがあることも忘れないようにしましょう。
2-2-2.ビタミンの種類に合わせて調理方法を変えよう
脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンには、それぞれ栄養を効率よく摂る調理方法があります。
脂溶性ビタミンを多く含む野菜に適した調理方法
脂溶性ビタミンを多く含む野菜は、水洗いや加熱調理による損失が少なく、野菜炒めなど油と一緒に調理したり、ドレッシングと組み合わせることで、より栄養の吸収率が高めることができます。
水溶性ビタミンを多く含む野菜に適した調理方法
水溶性ビタミンは水洗いや加熱調理により栄養素が失われるケースが多いため、調理法としては「茹でる」「煮る」よりも「蒸す」「炒める」などの調理法が適しています。
このため、野菜を煮る場合にはスープやお味噌汁や鍋にして汁ごと食べたり、茹でて食べるよりラップでチンして蒸して食べるようにひと工夫することによって、栄養分が野菜にとどまりやすく効果的に野菜の栄養を吸収することができるでしょう。
2-2-3.ミキサーでフレッシュなジュースやスムージーを作る
野菜を果物などと組み合わせフレッシュなジュースやスムージーにすれば、カサの多い野菜や果物もたくさん摂ることができます。
余分な油や塩分がカットできるので、ダイエットを目的にスムージーを飲む習慣を取り入れている芸能人もいますし、食事のメニューを考えたり調理する手間が必要ない、内臓への負担も少ないなどたくさんのメリットがあります。
しかし、噛まずに飲み込めることにより唾液があまり分泌させず、摂り込んだ栄養がうまく体内に吸収されないケースがったり、市販の野菜ジュースは、糖分や果物類が含まれているため高カロリーになってしまうなどのデメリットもあります。
2-2-4.青汁やビタミン、ミネラル成分のサプリメントなどを飲もう
青汁やビタミン、ミネラル成分のサプリメントなども野菜不足を補うためには、非常に有効な方法です。
手軽に飲むことが可能で、携帯することも容易にできるので、仕事で忙しい人や外出している時間の多い人のビタミン補給方法として人気があります。
また、普段食事からでは摂取することが出来ないような栄養を簡単に補うことが出来るなど、通常の食事にはないメリットもあります。
ただし、「サプリメントは体にいいもの」という思い込みのもと、過剰にビタミンやミネラル成分を摂取することは、毒となりかえって体に悪影響を及ぼします。
特に、脂溶性のビタミンは限界まで身体の中に蓄積されてしまうため、飲み過ぎには注意が必要です。
3.カット野菜にはどんなメリットがあるの?
カット野菜は、普通の野菜やサプリメントなどと比較した場合栄養面では見劣りますが、その他の面においては、普通の野菜やサプリメントにはない、さまざまなメリットがあります。
3-1.多種類の野菜が入っているので便利
野菜不足を解消するためには、食べる野菜の量も重要ですが、食べる野菜の種類も重要です。
そして、1985年厚生省(現厚生労働省)が作成した「健康づくりのための食生活指針」で「一日30食品を目標に」と提唱されていたように、多品目の野菜を食べることは、栄養バランスから見た場合にも大きなメリットがあると考えることができます。(現在は、食べ過ぎなど誤解を招く表現の可能性を考慮し、「多様な食品を組み合わせましょう」という表現に変更されています)
カット野菜は、ミックス野菜はもちろんのこと、なべ物用セットや中華野菜炒めセットなど、目的に合わせたくさんの種類の野菜が必要な分だけセットになっているものもあります。
スーパーで売られている普通の野菜では、同じ量は手に入れることができるかもしれませんが、限られた予算の中で同じ種類を手に入れることは非常に困難です。
つまり、栄養バランスを考え、野菜の品目数を大幅に増やせるという面からすると、カット野菜はとっても意義のあるものなんです。
3-2.個別に買うより安い
スーパーで売られている野菜は、季節によって価格が大きく異なります。
そして、天候不順など野菜の生育が十分でない場合には、需要と供給のバランスが崩れ価格が高騰します。
しかし、カット野菜は、海外産の野菜を使用したり、旬の時期に採れた野菜を冷凍保管することにより、比較的価格の変動を抑えることに成功しています。
つまり、普通の野菜が不作で価格が高騰したとしても、カット野菜は安定した価格で購入することができるんです。
3-3.栄養は少ないが、食物繊維は摂ることができる
厚生労働省によって作成されている「日本人の食事摂取基準」によると、年齢によって多少の差はありますが、健康な体を維持するために必要な食物繊維の量は以下のようになっています。
これに対し、実際の食物繊維の摂取量は、厚生労働省が作成している「栄養素等摂取量」によると、14グラム前後で推移しており、不足している状況が続いていることが分かります。
また、食物繊維は、排便をスムーズにするためダイエットに効果的なのはもちろんのこと、発ガン性物質など体内の有害物質を吸着して排出する効果も期待できます。
つまり、健康な体を維持するためには、ビタミン類やミネラル成分を摂ることも重要ですが、十分な食物繊維を摂ることも重要なんです。
食物繊維が多い野菜としては、ごぼう、かぼちゃ、ブロッコリー、たけのこ、とうもろこしなど、カット野菜で使われている種類が多いのが特徴です。
つまり、カット野菜を利用すれば、皮をむいたりカットしたりする調理工程ナシで、手軽にたくさんの繊維質を摂ることができるんです。
なお、食物繊維には大きく分けて、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維の2種類あり、野菜に含まれる食物繊維は不溶性食物繊維です。
そして、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の摂取バランスは、「2対1」が最適とされています。
食物繊維はサプリメントでも摂ることができますが、サプリメントは、野菜も含めた通常の食事で不足する部分を補ったり、意図的にある効果を得ることを目的に作られています。
また、一部の栄養素の中には、サプリメントで摂った栄養素と野菜などから摂った栄養素とでは違う場合もあります。
食物繊維や栄養素を効果的に摂るためには、食生活を充実させることを基本とし、サプリメントには補助的な効果を期待した方がよいでしょう。
3-4.ゴミが少ない
普通の野菜であれば生ごみとして捨てなければならない皮や芯などの余計な部分は、カット野菜では、あらかじめ取り除かれているためすべてを食べることができます。
つまり、カット野菜を利用すること生ごみを減らすことができるので、ゴミの量を減らすことができたり、キッチンの嫌な臭いやコバエなどの虫に悩まされることも少なくなります。
また、多くのカット野菜は、短期間で使い切れる分量で販売されています。
このため、カット野菜は一人暮らしや子供のいない夫婦など少人数の家庭の食卓にとっては、腐らせないで食べきれる地球にやさしいエコな野菜といえるのです。
3-5.時間短縮
カット野菜は、仕事や家事で忙しく料理の時間をとることは難しい主婦にとって、代わりに下ごしらえをしてくれる強い味方です。
そして、洗わずすぐ使うことができるので、部活動から帰ってきた子供の食事を急に作らなければならない場合などに、料理の時間を短縮し、手間を省いてくれます。
また、冷蔵庫の中にストックしておけば、急な来客の場合にも、カット野菜を利用して短時間で簡単なおつまみなども作ることもできます。
つまり、カット野菜を利用することで、あなたは時間に追われず気持ちの余裕を手に入れることができるんです。
4.カット野菜で野菜不足を解消するためにはどうすればいい?
便利で使い勝手がいい反面、栄養面では見劣るカット野菜。
カット野菜を利用して、野菜不足を解消し健康的な食生活を楽しむためには、いったいどうしたらいいのでしょう。
私がおすすめしたいカット野菜の活用法は次のとおりです。
4-1.カット野菜を食べることを目的にしない
野菜不足を解消し、健康な体を維持する最も有効な方法は、バランスのとれた食生活です。
そして、カット野菜を利用することは、バランスのとれた食生活を実現するためのひとつの方法に過ぎません。
このため、カット野菜を食べることが手段ではなく目的になってしまっては、まさに本末転倒です。
つまり、これまでご紹介してきたカット野菜の栄養に関する情報をあなたなりにまとめた上で、野菜不足を解消の手段として、カット野菜が適していると思えば使うべきでしょうし、適していないと思えば別の方法を選べばいいんです。
あなたの生活スタイルや価値観は、他の人と違うのは当然のことです。
野菜不足を解消するための方法として、まずは、あなたにとって何が有効で何が無意味なのかを見極める力を身につけましょう。
4-2.他の食品と組み合わせて相乗効果を狙う
野菜不足を解消するための方法を選ぶ際、多くの人は、「これさえあれば・・・」とか「これはダメ」とか安易に結論を求めてしまいがちです。
しかし、野菜不足を解消するための方法はひとつに絞らなければならないわけではなく、複数の方法を組み合わせることによって、大きな相乗効果を手にすることも可能なんです。
たとえば、毎日家事と仕事の両立で料理をする時間もままならない主婦が野菜不足を解消する方法として、平日の朝はコップ一杯の青汁、夕食はカット野菜や宅配食材を利用、休日は手作り料理を作り置きしておくなど、生活シーンに合わせ最適な方法を上手に選択することが本来の賢い使い方のはずです。
カット野菜は使う人や使い方によって、野菜不足を補う食品になることもあれば、無駄でほとんどメリットのない食品になることもあります。
カット野菜を野菜不足を補う食品として上手に使いこなすためには、使う人のセンスやテクニックも、ある程度必要でしょう。
4-3.まずは、食べてみてから
これから、カット野菜を使ってみようかと思っている人のほとんどは、カット野菜を選んだことを後悔したくないと考えています。
そして、そんな気持ちが強ければ強いほど、一生懸命情報を集め、比較検討することに躍起になっているはずです。
しかし、生活スタイルや価値観が人それぞれである以上、カット野菜を選んだことを後悔する人が一定数出てきてしまうのは仕方のないことです。
なぜならば、あなたにとってのカット野菜はどれくらいの価値があるのかは、実際に使ってみなければ分からないものだからです。
もし、あなたがカット野菜を試してみたいと感じているのであれば、まずカット野菜を買って食べてみてください。
そして、あなたが何を感じるのか、自分の感情に素直に従ってみてください。
理屈で物事を判断し情報に翻弄され、時間が経ってから何も行動しなかったことを後悔することほど、馬鹿らしいことはありません。
試してみた結果、「合わないなあ」と感じたら、その時点でやめればいいんです。
使ったお金は働いて稼ぐことができますが、失った時間は二度と取り戻すことはできません。
カット野菜を選んだことを万が一後悔したとしても、失敗したという経験はあなたにとって貴重な財産となるはずです。
まとめ
いかがでしたか?
カット野菜の栄養について考える時には、カット野菜の栄養だけに注目するのではなく、カット野菜を含めた食生活全体について考える必要があることが、ご理解いただけたと思います。
そして、カット野菜は野菜不足を解消したいすべての人に適した野菜ではないことも知っていただけたと思います。
偏った情報や作り上げられたイメージに洗脳され、メリットとデメリットを十分理解しないままカット野菜を選んでしまうなんて、本当に切ないです。
あなたは、そんなことにならないように、今回ご紹介したカット野菜に関する情報をふまえた上で、上手に野菜不足を解消し野菜の栄養を体に摂り入れてくださいね。